妖怪・雲外鏡は一体何を映すの?

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手鏡、姿鏡、三面鏡。様々な鏡が世の中にあります。
あなたも毎日、顔を洗うとき1度は鏡を見るのではないでしょうか。
そんな鏡も「雲外鏡」として付喪神として妖怪化しています。
今回はその雲外鏡についてご紹介します。

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雲外鏡ってどんな妖怪?照魔鏡?山海経?

百年たった道具は魂を宿すといいます。これを付喪神と言い、雲外鏡は鏡に宿った付喪神となります。
江戸の浮世絵師鳥山石燕が創作した妖怪であると言われており、「百器徒然袋」という画集に登場します。
この画集は様々な付喪神が登場しますが、「徒然草」や中国の古い話をヒントに妖怪を創作したとも言われています。

鳥山石燕 百器徒然袋 雲外鏡 

上記のような絵で描かれており、左上にはこう書かれています。

照魔鏡(しやうまきやう)と言へるは もろもろの怪しき物の形をうつすよしなれば その影のうつれるにやとおもひしに 動(うごき)出るままに 此(この)かゞみの妖怪(ようくはい)なりと 夢の中におもひぬ

照魔鏡は魔物の怪しい姿を映し出すと言われているということなのですが、雲外鏡ではなく照魔鏡のことが書いてあるのです。
では照魔鏡とは何でしょう。

実は中国の古い話に出てきます。
昔、中国に妲己という美しい女性がいました。
妲己は王を惑わし悪逆の限りを尽くしますが、照魔鏡により本性を映し出されます。
なんとそれは白面金毛の九尾の狐の姿であり、本性を暴かれたため斬りつけられましたが、遠くへ逃げていったというのです。

雲外鏡はこの照魔鏡の逸話を元に作られたと言われています。

また、中国の妖怪書物に「山海経(さんがいきょう)」という書物があり、雲外鏡(うんがいきょう)という名もそこから取っているとも言われています。

最近の書物では妖怪となった自分自身の顔を鏡に映し出しているモノ、照魔鏡に映された妖怪たちが照魔鏡を操って動かしているという解説がなされています。

絵から考えてみる雲外鏡と歌舞伎

もう一度絵を見てみましょう。

鳥山石燕 百器徒然袋 雲外鏡 

名前にある通り雲の外(うえ)とあり、絵も黒い雲の上に顔があります。
また、その顔は歌舞伎の隈取りのようになっており、舌をだしています。
隈取りは赤が主役、青が敵役、茶が妖怪と決まっています。
カラーではありませんがおそらくこの隈取りは茶なのでしょう。

ここからは私の考察になりますが、雲外鏡は歌舞伎役者の名跡、初代中村仲蔵をモデルにしたのではないでしょうか。

歌舞伎には初世中村仲蔵という名跡がいました。
この中村仲蔵が「志賀山三番叟」を「寿世嗣三番叟」という名で1786年に復活させます。
後に「舌出し三番叟」という形で再度復活し、今でも有名な演目となっています。
この演目は舌を出すシーンがひとつの見所となっており、文献にはありませんが、古くから舌を出していたのではないかと私は思います。

雲外鏡が描かれた「百器徒然袋」は1784年に刊行されています。
舞台より早いですが、作者の鳥山石燕も役者の中村仲蔵も共に江戸に住み、蔦屋重三郎ともともにつながりがあったのではないでしょうか。
また、徒然草を参考にしたとも言われていますが、その137段にはこんな風に書かれています。

花は盛りに、月は隈なきをのみ、見るものかは。雨に対ひて月を恋ひ、垂れこめて春の行衛知らぬも、なほ、あはれに情深し。咲きぬべきほどの梢、散り萎れたる庭などこそ、見所多けれ。歌の詞書にも、「花見にまかれりけるに、早く散り過ぎにければ」とも、「障る事ありてまからで」なども書けるは、「花を見て」と言へるに劣れる事かは。花の散り、月の傾くを慕ふ習ひはさる事なれど、殊にかたくななる人ぞ、「この枝、かの枝散りにけり。今は見所なし」などは言ふめる。

黒い雲の上にある顔は月を表しているのではないでしょうか。
もしそうであるならば「月は隈なき」と雲外鏡の隈が一致するようにも見えます。

また「寿世嗣三番叟」は翁がメインとなっています。
中村仲蔵の老いてなお、怪演だったのかもしれません。

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いじられやすい創作妖怪

では鳥山石燕以外の描いた雲外鏡はどのようなものがあるでしょうか。

水木しげるの著作には旧暦8月の十五夜に月明かりのもとで水晶の盆に水を張り、その水で鏡面に怪物の姿を描くと、鏡の中にそれが棲みつくという伝説が記載されています。

また、1968年に上映された『妖怪大戦争』に登場する雲外鏡は、狸の形をしておりお腹をふくらませ、テレビのような能力を発揮します。

2015年にアニメを控えている『うしおととら』では、一つ目の顔と手足のついた鏡の姿をしており、鏡と鏡の中の空間をつなげ、人や妖怪などを世界中の鏡へと移動させることができます。

『実写版ぬ~べ~』ではE.Tのような姿をしており話題になりました。

人気の『妖怪ウォッチ』では「うんがい鏡」と表記されており、見た目は石燕のものに近いですが、能力は『うしおととら』と同じく鏡と鏡の中を行き来できるそうです。
また、色違いに「ヤミ鏡」がいたり、別の妖怪と合成すると「うんがい三面鏡」になったり、とゲームらしい変化をしていたりします。

創作妖怪だとこのように自由に創作しやすい点があるかもしれませんね。

妖怪で色々と楽しんでみよう

いかがでしたでしょうか。
雲外鏡といったちょっと馴染みのない妖怪でも出典を想像したり、新しいカタチを創造したりと楽しみ方はたくさんあります。
是非みなさんも妖怪をもっと知って楽しんでみてください。

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